林謙三 宛
|
十日御認の御書、十一日ニ相達拝見仕候。段々の御思召能相わかり申候。そが中ニも蝦夷の一条は別して兼而存込の事故、元より御同意仕候。別紙二通此度愛進ニさし送り申候間、内々御一覧の上、其上を封じ御送り可被成、然レバ愛進より何ぞ申出候べしと奉存候。其上御考可被成、私儀もひまを得候へバ下坂可仕、外に用向も在之候。〇扨、今朝永井玄蕃方ニ参り色々談じ候所、天下の事ハ危共、御気の毒とも言葉に尽し不被申候。大兄御事も今しバらく命を御大事ニ被成度、実ハ可為の時ハ今ニて御座候。やがて方向を定め、シユラか極楽かに御供可申奉存候。謹言。十一月十一日龍馬追白、彼玄蕃「ハヒタ同心ニて候、再拝々。 |
|
10日に認めた手紙、11日に届き拝見しました。だいたいのお考えはよくわかりました。その中にも蝦夷の一条はかねてから考えていたことなので、元より賛同します。別紙を前河内愛之助(沢村惣之丞の変名:海援隊士)に渡しましたのでご一覧の上、再度封を閉じて送って下さい。あとは前河内愛之助(沢村惣之丞の変名:海援隊士)の指示に従って下さい。私も他に用事があるので暇を見て大阪へ向かいます。さて、今朝永井玄蕃(永井尚志:幕府の高官)方に行って色々と話をしたところ、天下の事はとても危うい状態なのでお気の毒と言葉を尽くして申しました。大兄(林謙三:芸州藩士)も今しばらくはお命を大事にして下さい。実に成すべきことは今なのですから。やがて方向を定め、修羅か極楽か(戦争か平和)覚悟を決めましょう。11月11日龍馬追伸、この玄蕃(永井尚志:幕府の高官)も同じ気持ちです。 |
坂本龍馬の手紙139通(現代翻訳文)一覧
コメント
この記事へのトラックバックはありません。
この記事へのコメントはありません。