長崎奉行 宛
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於丸山此度英人殺傷之儀ニ付、上様御書を以て御名江被遣、則平山図書、戸川伊豆、設楽岩次郎御来国ニ相成、其節英国軍艦も渡来仕り、御調ニ相成、猶於此地屡々御談判席ニ相加り、今日ニ至りよをやく嫌疑相晴一同安心罷在候」然ニ此儀ハ英人等道路雑説を聞取、疑念之筋申上候より上件ニ立至り候得ども、何等の証跡も無之儀ニ御座候」向後外国人横死致候節も自然弊国ニ嫌疑相掛候而、度々前件之御取扱ニ相成候而は弊藩頑固々陋之人心、深く心痛仕候」何卒此度之義を斯迄重大之御取扱ニ相成候上は、御名を初国中人民ニ於而も一同可奉感服奉存候。御沙汰ハ仰付度奉存候。右之趣宜様以上。月日───認おわりて枕辺におしやる頃、門守る犬の声には夜ふかふおぼへ、鳥のこゑのこ〃かしこにきこゆるは寅の針は卯をさすにちか〃らんか。 |
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於丸山(長崎奉行所)この度、英国人殺傷の件につき、上様(将軍)の名前をもって、平山図書、戸川伊豆、設楽岩次郎がこちらに来ました。この件は英国軍艦にも届いており、準備が整いました。しばしばの会合に加わり、今日に至るようやく嫌疑が晴れまして一同安堵してます。しかし、この件は英人等が港の風説を聞き、疑念を持つことになったわけであるが、何の証拠もありません。今後も外国人横死の時は自然自国に嫌疑がかかります。前の件の取り調べでは、幣藩は頑固なお国柄なので深く心痛してます。この件を、このように重大にお取り扱いになったことは、貴方の名前を初め、国中の人民においても一同感服しているでしょう。処分を承りました。この手紙を書いて寝る頃、門を守る犬の声により夜は深いように思うが、鳥の声があちこちに聞こえるのには、時計の針は卯(午前6時頃)を指してないかな。 |
坂本龍馬の手紙139通(現代翻訳文)一覧
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