桂小五郎 宛
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追白、溝渕広之丞よりさし出し候品物は中島作にあい頼み申し候間、お受取り遣わさるべく候。かの広之丞まことに先生のご恩をかんじ、実にありがたがり居り申し候。再拝々。一筆啓上仕り候。益々ご安泰ならる可く御座候。然るに先頃は罷り出段々お世話ありがたき次第、万謝奉り候。 その節溝淵広之丞にお申し聞かせあい願い候事件を、同国の重役後藤象二郎、一々相談候より余ほど夜の明け候気色、重役どもまた密かに小弟にも面会仕り候故、十分論じ申し候。この頃は土佐国は一新の起歩あい見え申し候。その事どもはくわしく、さし出し候中島作太郎に申し聞かせ候間、お聞きとり遣わさるべし。もとよりこの一新仕り候も、まことに先生のお力と拝し奉り候ことにござ候。 当時にても土佐国は幕の役には立ち申さず位のところは相はこび申し候。今年、七八月にもあいなり候へば、事により昔の長薩土とあいなり申すべしとあい楽しみ居り申し候。その余拝顔の期、万々申し上げるべく候。 |
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溝渕広之丞からの品物は中島信行に頼んであるので、お受け取り下さい。この広之丞は誠に先生のご恩を感じ、実にありがたがっております。一筆書かせて頂きます。ますますご健勝なことかと思います。先頃はおいで下さりましてお世話などして頂きありがとうございます。 溝淵広之丞に申し聞かせて頂きたい事件を、同国の重役後藤象二郎が一々相談して頂き、夜明けの空の色がかわる程です。重役どももまた密かに私にも面会してきておりますので十分に話しておきました。最近の土佐の国は一新の希望が見ております。その内容は詳しく中島作太郎に話してありますので詳しく聞いて下さい。もとよりこの一新も、まことに先生のお力添えのおかげだと思います。土佐の国は幕府のためには働かないとのことになりました。 今年、7~8月にもなれば、昔のように協力して薩長土となりますことをまことに楽しみにしています。その時はまたお会いしたく存じます。 |
坂本龍馬の手紙139通(現代翻訳文)一覧
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