坂本乙女 宛
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私事ハ初より少々論がことなり候故、相かハらず自身の見込所を致し候所、皆どふ致し候ても事ができぬゆへ、初に私しおわるくい〃、私しお死なそふとばかり致し候ものも、此頃ハ皆〃何となく恋したいてそふだん致し候よふニ相成、実にうれ敷存候。─世上ニ義理太イ分ンわかりたり─私ハ近日おふ々ニ軍致し、将軍家を地下ニ致候事ができず候時ハ、も外国ニ遊び候事を思ひ立候。二国三国ハそふだんニおふじ候得へども、何分時節が十二分ニなく、又長州のよふつまらぬ事ニ致してハならぬと存じ候。まおかんがへ私とても、一生うちニおりてぬかみその世話致すハいやと存候バ、今日ニてよく御存被成度候。今私が事あげ致候時ハ、皆大和国や野州やニて軍五、六度も致し候ものをあつめをき、夫をつかい候得バ、どふしても一度ハやりさへすれバ、志をうると存候。然共、中々時がいたらず。 |
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私のことは初めから少々込み合ったことだけど、相変わらず自分の信念の通りに生きてます。私は皆と同じような考えではなかったので、初めは悪く言われてまして、私も死のうかとも思ったりしていましたが、この頃はなんとなくみんなが龍馬の事を恋しいと思ってくれているようなので、実に嬉しく思います。世の中においても義理は堅いものだなぁと思いました。私は近日おいおい戦をしますが、将軍家をつぶすことがことが出来ない時はもう外国に遊びにでも行こうかと思ってます。2国、3国(長州・薩摩・広島など)はこの案に応じているけれども、なにぶん時間が十分になく、また、長州のようなつまらないことをしていても仕方がないと思います。※幕府が長州を攻めていること(要は内乱)ま、お考えあれ、私はとてもじゃないけど、一生家にいてぬかみそ(糠味噌)の世話などをするのは嫌だなぁと、最近つくづく思いました。私がこと(大事)を起こす時は、大和(奈良県)や、野州(滋賀県)にて戦を5・6度もしたことがある連中を集めて、それらを使って、一戦くらいすればそれだけで志を得ると思う。しかし、中々そのようにならない。 |
坂本龍馬の手紙139通(現代翻訳文)一覧
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